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| 時のロマン。熟成の魔法。「古酒・熟成酒」 店主・島田洋一 |
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私のいう熟成酒とは、高精白米で造った吟醸酒のように、どちらかといえばアミノ酸の少ない酒で、低温で発酵させたものを、やはり低い温度で寝かせてお酒の味を落ち着かせたもの。古酒は、最初から寝かせることを念頭に個性のある酒を造り、長年置いたもの。例えば、酸もアミノ酸も多い、味に厚みのあるお酒を、暗い蔵の中で常温で5年、10年、20年と寝かせると、底のほうにドロッとした漉せないものが溜まります。そして上のほうは、琥珀色でテリがあって、香りは穏やかで濃醇なものになります。それは歳月からしか生まれないすごい味の厚みです。その喉越しのよさ、おなかの中でのおさまり、酔いの清々しさは、まさに、時が醸すロマンです。 日本酒は、毎年10月〜11月に新酒ができると、前の年に醸造されて夏を越した酒は「冷やおろし」と呼ばれ、それで飲み切るものと思っておられる方が多いようです。しかし、これはとても新しい習慣です。
古くは鎌倉時代の文献に“古酒”の名があり、日本酒が確立したと言われる元禄時代には、3年、5年、9年などと呼んで珍重し、新酒の2〜3倍の値で取引されていたようです。他にも、古い文献には、古酒を愛でる言葉が数多く残されています。 老香(ひねか)とも呼ばれる独特の熟成香を放つ古酒は、初めて口にする方には違和感を感じさせるかもしれません。でも歳月のみが与える味、香りの奥行きの深さに、飲むほどに心が清浄され、いつしか感動さえ覚えることでしょう。 |
| 島田洋一プロフィール |
| 昭和16年、大阪市生まれ。昭和39年、関西学院大学卒業後、家業の酒販店を継ぐ。昭和56年、日本名門酒会加盟。以降「いい日本酒」に目覚め、全国の酒蔵巡りを開始。各地の銘酒を集める。昭和57年、店の地下にセラーを作り、吟醸酒などの試飲をしていただけるスペースを設置。また、居酒屋を飲み歩き、いいお酒が飲める居酒屋を探索。それをもとに『心酔わせるお酒のある店』のタイトルで、「居酒屋ガイドブック」5冊を出版。酒販業のかたわらさまざまなお酒の会のお世話をしながら、酒のある人生を楽しんでいる。 |
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